2014.3.31 世界をつつむ透明なうつわとして

近々作品集を作るために、制作にあたっての文章を考えています。


「世界をつつむ 透明なうつわとして」


世界はよろこびに満ちている。

存在するものすべてが、それそのもののもつ美しさをあらわすならば。

この世界は完璧にまわり始めるだろう。

…この先がどうしても思い浮かばなくて、お気に入りの作品を前にウンウン

唸っていました。

ウンウン言ってるうちにふわーっと眠くなってきて、いつの間にか夢のようなものを

みて。


ー深い深い森の中に、とても冷たい小川が流れていて、苔生した岩の下には、薄暗い

洞穴がある。

水は冷たいけれどとても澄んでいて、洞穴の底の小石までがキレイに見える。

そこには一匹のサンショウウオが住んでいて、薄暗がりからそっと顔を出して辺りを

見ている。

彼の目に映るのは、鬱蒼とした木々、絶えず流れる清い水、時々陽の光が差し込ん

で、深々とした苔が黄金色に浮かび上がる。

サンショウウオはこの景色をとても美しいと感じ、この世界を深く愛している。ここ

に生きる自分に、深く満足している。

自分が存在することそのものに、深く感謝している…。


ふと目が覚める。

サンショウウオとしての命が、あまりにも幸福感に満ちていて、なんだか涙が溢れて

きた。

すべてのものは世界を美しいと感じる心を持っていて、どんな小さな生き物でさえ、

命を生きるということ、今ここに存在することそのものに、感謝しているのではない

かなと思った。

存在することそのものに感謝するって、なんだか究極の愛情のような気がしてきて、

たとえそうなのだとしたら、そういうものに囲まれている私はこの上なく幸せだと思

う。

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